tochioageの日記

基本的に本・コミックのエッセイとお題で書きたいわ。

今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」老ハンナ・ポー・・ご存知萩尾望都ポーの一族」に登場する最古の老女で大老(キング)・ポーの連れである。キング・ポーとのなれそめは不明、エピソードを知りたい気もするが分からない今のままでもよいか。敢えて吸血鬼(バンパイア)とは言わないバラと人間の生気(エネジイ)を糧とするポーの一族のキングに次ぐ拠り所である。

いにしえから老女であった。さかのぼれば紀元前のギリシャからキングの連れで古代ローマに流れキリスト教が国教になると異端として迫害を受け北へ逃れた。イギリスに至りイングランドの北方ヨークシャーで時を過ごすがこの期間にはやり病で生き残った土地の女クロエを仲間に加えた。キング・ポーの城で騒動が起こり危険を避けて南西のウエールズの地スコッティに着いてポーの村を成した。               

狩りで仲間とはぐれたグレンスミス・ロングバード男爵はシカと間違えて少女メリーベルを撃ってしまいその兄エドガーに殺されかける。責任を感じポーの村の館にとどまった男爵はそこでバラの花びらを摘んでいる老女に出会う。ここが老ハンナが「ポーの一族」に初めて登場する場面でシワを使わないで老人を描くすごい描写力の漫画家が現れたと萩尾望都を知らしめたシーンだと伝え聞いている。              

霧の夜にエドガーは生まれたばかりのメリーベルと共に森の中に置き去りにされた。泣き声を聞きつけた老ハンナは二人を見つけ館に連れ帰り育てた。子育ても上手で幼児の扱いも巧み、ひとたび事が起これば冷静な判断力と実行力で一族を束ねる。そんな老ハンナであったが霧深い日にエドガーを探しに出てバンパイア狩りに憑りつかれた村人のクイの一撃であっけなく散ってしまう。突然訪れた老ハンナの永い生の終焉である。 

平々凡々な人生でも老ハンナ程とは言わないが紆余曲折が発生するものだろうか。そして思いがけなくこの世を去るのか。老人の日に想う。